ケミルミネッセンス法(化学発光)とは
ケミルミネッセンスとは「化学反応において、反応系の分子が励起状態から基底状態になる際に生じる微弱な光」のことで、この光を検出する方法がケミルミネッセンス法です。
ケミルミネッセンスはケミカル・ルミネッセンス(Chemical Luminescence:化学発光 )のことで単にケミルミ (CL)とも呼ばれます。ケミルミネッセンスは非常に微弱な光のため測定装置は他の光検出装置に比べて高感度となります。
弊社のケミルミネッセンスアナライザ(CLAシリーズ)は人の眼には見えない非常に微弱な光を測定する装置で、 物質からの発光をフォトン(光子)のレベル(50光子/cm2/sec、蛍の光の一万分の一程度の光、10-14wattレベル) で捉える事が出来る、世界でも最高感度クラスの微弱発光検出装置です。
微弱発光の強度について
人の眼には見えない微弱な光は、ケミルミネッセンスの他にも、生物発光、バイオフォトンなどがあります。 これらの光を測定することでさまざまな応用に利用できますが、特に有機物が酸化劣化する際に出るケミルミネッセンスを測定して、酸化劣化度の評価に利用します。
弊社装置は酸化劣化由来のケミルミネッセンス検出の他にも、さまざまな分野で利用されています。
酸化反応由来の光
自動酸化メカニズム
テキストを未酸化物(RH)は光や熱などの刺激によりラジカルを生じ、酸素と反応してペルオキシラジカル(ROO・) を生じ、その後過酸化物(ROOH)となる。ROOHは分解して再びROO・となり、この2分子反応によって 高いエネルギー状態の励起カルボニルと活性酸素の1つである一重項酸素を生じます。
励起カルボニルと一重項酸素は励起状態から基底状態に戻る際にエネルギーを光と熱として発散します。この時に生じる 極微弱な光を検出することでROOHの生成量、すなわち酸化度を測定することが可能です。 これがケミルミネッセンス法であり測定値は発光量としてあらわされます。
通常は試料を加熱することでROOHを分解し、試料内に生成し蓄積している極微量のROOHを検出します。 他の測定方法ではある程度酸化反応が進まないと変化が見られませんが、ケミルミネッセンス法は酸化の 中間生成物であるROOHを高感度に直接検出するため、強度の低下、色の変化(黄変)などが現れる前の、 酸化の極初期の変化を捉えることが可能です。
データ解析方法
以下に一般的な加熱測定時のCL挙動を示しました。サンプルが加熱されるに従い過酸化物が分解し、励起カルボニルからのCLが増加してピークとなります(1stピーク)。これはその時点での過酸化物量に相当します。 その後、空気又は酸素中で加熱することで酸化反応が促進され、やがてCLは平衡状態となります。この時の強度を平衡発光強度(Is)と呼びます。安定剤添加試料では安定剤が消費されて、酸化反応の平衡状態が崩れ、サンプル内のラジカル量が増加することで著しく高い発光が現れます(2ndピーク)。このポイントをOIT(酸化誘導時間)と呼び、OITによりサンプルの酸化安定性を評価することが可能です。またIsはサンプル内のラジカルの消滅および生成の均衡状態であることから、ラジカルの生成速度を表し、この値からもサンプルの酸化安定性を評価できます。
酸化劣化測定の応用例
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